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ニュース詳細

New2025年度 人工知能学会全国大会にて採択論文を発表

2025年05月13日

当社 舶用機器事業部長および研究員によるAI技術の講演、ブース展示

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下、当社)は、2025年5月27日(火)~30日(金)に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催される「2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)」(以下、JSAI2025)にプラチナスポンサーとして出展します。

JSAI2025は、一般社団法人人工知能学会が主催するAIの学会です。本学会では大学や企業の研究者が一堂に会し、機械学習から「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」などの応用に至るまで幅広い研究発表が行われます。近年のAI技術の急激な進歩により、様々な領域で社会実装が進んでいます。当社は「みえないものをみる」という事業テーマのもと、センサーやそれらの技術を活用した映像機器など数多く開発し、認知や判断の高度化に貢献してきました。当社の事業とAI技術は親和性が高く、さらなる高精度・高度化を目指した様々な取り組みに着手しています。

出展内容について

  • 当社はインダストリアルセッションにおいて、「古野電気が挑むAI技術を活用した海洋産業のイノベーション~Ocean 5.0の未来社会に向けて~」を演題に当社の舶用機器事業部長が登壇する他、オーガナイズドセッションにおいては当社の研究員がオーガナイザーを務め、「Physics-Informed Neural NetworkによるCFD代替サロゲートモデルを用いた船舶流体解析」(株式会社新来島サノヤス造船との共同研究)を演題に登壇します。また、共同研究を行っている海洋研究開発機構から共著として「マルチスケール型GNNに基づく海況予測モデルによる全球10日間予測」、Aitomaticから共著として「Llamarine: Open-source Maritime Industry-specific Large Language Model」を発表します。さらに当社ブースでは操船シミュレータの他、海底探査を目的とする海上ドローンおよびミリ波レーダーなど様々な独自のセンシング技術を紹介します。


  • 操船シミュレータイメージ

インダストリアルセッション講演概要

日時 2025年5月28日(水)14:20-14:40
講師 古野電気株式会社 取締役 常務執行役員 舶用機器事業部長 矮松 一磨
演題 古野電気が挑むAI技術を活用した海洋産業のイノベーション ~Ocean 5.0の未来社会に向けて~
概要 当社は2048年に創立100周年の節目を迎えます。2050年に到来するであろう未来社会コンセプト「Ocean 5.0」の世界に向けて、AI技術を軸に海洋分野の技術革新に取り組んでいます。船舶の安全・効率的な運航支援、海洋資源・環境の保護、自動航行技術の高度化に貢献するために幅広く技術開発を行っています。本インダストリアルセッションでは、AIを活用した最新の海洋技術と具体的な事例を紹介し、今後の海洋産業の発展に向けた古野電気のビジョンと取り組みを紹介します。

オーガナイズドセッション概要

日時 2025年5月29日(木)13:40-15:20
オーガナイザー 古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室長 木村 考伸
東京海洋大学 教授 竹縄 知之
海洋研究開発機構 付加価値情報創生部門上席研究員 松岡 大祐
タイトル OS-27 サロゲートAIモデルの気象・海況/船舶への応用
概要 近年、世界の海運業界はグローバルな貿易拡大に伴い、船舶運航の効率化や安全性の向上はますます重要な課題となっています。気象・海況における物理現象を高度にシミュレートするAIモデル、潮波風などの流体現象に対する船舶への影響を個々の船に合わせ模擬可能なAIモデル、運航時のリアルタイム観測データから波浪等を予測可能なAIモデル、船舶のセンシングデータを統合した解析により操船判断を支援するAIモデル等の研究が行われています。これらの研究は、船舶運航の最適化や予測精度のさらなる向上に寄与し、船員の負担軽減とリスク管理の強化を可能にする技術として多くの注目を集めています。本セッションでは上記における、リアルデータとシミュレーションに対するAI技術を用いた統合的な役割を議論し、今後の発展を見据えます。

論文発表概要

日時 2025年5月29日(木)15:00-15:20
発表者 古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室長 木村 考伸
(株式会社新来島サノヤス造船 共著)
演題 Physics-Informed Neural NetworkによるCFD代替サロゲートモデルを用いた船舶流体解析
概要 数値流体力学(CFD)手法は精度と計算量のトレードオフの制約があり、特に船舶に用いられる流体計算は高精度が要求されるため、必要となる計算リソースの増大が課題とされてきました。本研究では、Physics-Informed Neural Network(PINN)の概念を導入し、様々な位置や形状に対応するため、球状や円柱状の基本的な幾何構造に加えて、多様に変形させた数学的な仮想船型(Wigley模型)などを対象に流体挙動シナリオを作成し、流体力学方程式や物理的境界条件を満たす制約付き学習により流体解析モデルを構築し、その結果を報告します。

共同研究による共著論文発表概要

日時 2025年5月29日(木)13:40-14:00
発表者 海洋研究開発機構 平林 祐太
演題 マルチスケール型GNNに基づく海況予測モデルによる全球10日間予測
概要 海況の正確な予測は船舶の効率的な運航や漁業活動において不可欠ですが、微分方程式に基づく数値計算を用いた予測は多くの計算時間を要します。本研究では、代理モデルを用いた10日間の全球海況予測の可能性の探索を目的とし、マルチスケールな特徴を扱うGNNに基づく海況予測モデルを開発したため報告します。
日時 2025年5月29日(木)14:40-15:00
発表者 Christopher Nguyen, CEO, Aitomatic, Inc
演題 Llamarine: Open-source Maritime Industry-specific Large Language Model
概要 大規模言語モデル(LLM)は複雑推論において有望性を示している一方で、海事航行のような専門ドメインでは十分な性能を発揮できないことが知られています。本研究では海事特化型のオープンソース基盤モデル「Llamarine」を提案します。実験結果から、Llamarineは汎用および商用LLMを凌駕し、海事領域における複数のクリティカルタスクで優れた性能を示すことを報告します。

開催概要

名称:2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

日程:2025年5月27日(火)~30日(金)

会場:大阪国際会議場(グランキューブ大阪)+オンライン開催

主催:一般社団法人 人工知能学会

公式サイトhttps://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2025/

当社ブース:ブースE83

※「Ocean 5.0」とは海洋の未来や社会環境をテーマにした論文や書籍など様々な文献をもとに、2050年に到来するであろう世界を当社が予測して描いた未来社会コンセプト。過去、現在、そしてこれからの海の未来を「Ocean 1.0」から「Ocean 5.0」の5段階に分類し、「1.0 海の恩恵を発見」「2.0 海へ自由に航海」「3.0 人類中心で海の支配」「4.0 持続可能性の模索」と続き、2025年現在は「Ocean 4.0」の時代と定義しています。

【特設サイト】https://future-vision.furuno.co.jp/

フェーズ 技術革新や経済・社会構造の変革
Ocean 1.0 海の恩恵を発見 BC3000年頃、人類は海の生物を発見し、生きるために海の生物を捕獲して恩恵を受けるようになった。
身近な範囲で、海と共生した時代。
Ocean 2.0 海へ自由に航行 AD800年頃になると、人類は豊かな生活のために、海へ自由に航海するようになった。
大型船の出現により、人や文化が行き交うようになった時代。
Ocean 3.0 人類中心で海の支配 人類中心で海の支配AD1700年頃になると、技術を発展させた人類はさらにたくさんの海の資源を獲り、同時に海を汚染した。人類が海を支配した時代。
Ocean 4.0 持続可能性の模索 そして現在。地球環境の変化に気づき、持続可能性を模索している現代。
より利便性の高い技術へと発展しつつも、世界を取り巻く環境は変化し、さまざまな課題を抱えている。
Ocean 5.0 海との共存共栄 海の恩恵を全ての生きるものが受け、さらに海へ恩返しする未来。
この時代の企業は、経済発展と社会課題の解決を両立しながらサステナブルな未来を実現している。

今後も当社の強みであるセンシングや信号処理技術にAI技術を活用することで、「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」を目指し、新製品への展開も含めた製品価値の向上を図ってまいります。

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