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ニュース詳細

New「日本船舶海洋工学会 秋季講演会」において、海事産業に特化したオープンソース大規模言語モデル「Llamarine」に関する研究結果を発表【DX】

2026年03月18日

海事産業のDXを支える新たなAI基盤を公開

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下 当社)は、昨年11月に兵庫県で開催された「令和7年 日本船舶海洋工学会 秋季講演会」において、Aitomatic, Inc.と共同開発した海事産業特化オープンソース大規模言語モデル「Llamarine」に関する研究結果を発表しました。

研究の背景と概要

海運業は世界の貿易の約8割を支える重要な産業であり、安全運航の確保や効率向上に向けて高度な判断が求められています。しかし、気象変化の激化や長期航海に伴う負荷、多国籍クルー間のコミュニケーション、人材不足の深刻化など多様な課題が現場に存在しています。さらに、SOLAS・MARPOLといった国際規制の複雑化や頻繁に行われる更新、デジタル化に伴うデータ量の増加やサイバーセキュリティ対応など業務環境が年々高度化しています。当社ではこれらの課題に対応するために、航海判断や規制適用、教育・訓練を総合的に支援する「AIエージェント」の活用に取り組んでいます。本研究では、その中核となる「海事産業に特化した大規模言語モデル」の開発に注力し、以下の目標を掲げました。

  • 海事専門書籍・論文・規制文書を活用した高品質データセットの構築
  • 海事特化言語モデルの開発とオープン公開
  • 海事特有の推論能力を評価するベンチマークの策定

当社は、これらの成果をオープンソースとして広く公開することで、海事産業のDX推進と将来的なAIエージェント活用を支える基盤の構築を目指します。

発表内容

本講演では海事産業に特化したオープンソース大規模言語モデル「Llamarine」の開発プロセスと評価結果を発表しました。本モデルは操船判断や規制理解、技術計算など、現場の実務で求められる課題に直接活用できるAIとして設計しています。

①海事産業専用データを用いたモデル開発
「Llamarine」は、海事専門書籍や研究論文、国際規制文書などから構成した大規模データセットを活用し、海事分野で求められる知識を幅広く学習することで、一般的な大規模言語モデルでは難しかった専門用語や判断プロセスの理解を可能にし、現場の意思決定を支援する性能を獲得しています。

②「Llama 3.1」を基盤とした高精度モデルの構築
基盤モデルとして「Llama 3.1 70B」を採用し、海事分野に特化した追加学習を行った結果、海事産業特有の文脈に沿った説明が可能になり、操船判断手順や国際規制適用のポイントを具体的に示すなど実務に活用できる精度を実現しています。

③既存モデルを上回る評価結果

モデル性能は、「明確性」「実用性」「専門性」「論理構成」など6つの項目で評価しました。その結果、「Llamarine」は複数のオープンソースモデルおよび商用モデルを上回る総合スコアを記録し、特に操船シナリオや規制対応に関する具体性を持った回答に強みが確認できています。また、国内外の研究者や開発者が活用できる環境を整備するため、本研究で構築したモデルおよびデータセットはAIモデルやデータセットを共有・利用できるオープンソースAIプラットフォームHugging Face上で公開しています。

発表タイトル

Llamarine:海事産業特化オープンソース大規模言語モデル

発表者

  • Aitomatic, Inc.:William Nguyen、An Phan、Quynh Le、William Poucher、Christopher Nguyen
  • 古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部 知能制御研究室
    室長 木村 考伸、主席研究員 前野 仁、主任 田中 美佳

研究者コメント

  • 「Llamarine」は、海事産業の専門文献・国際規制・技術資料をもとに、現場で求められる知識と推論能力を備えた初の海事特化オープンソースLLMです。オープンな基盤として公開することで業界全体での技術検証や応用開発が加速し、操船判断支援や規制理解、教育訓練など、多様な領域での活用促進が期待できます。
    今後は、画像やセンサーデータを扱うマルチモーダル化、船上利用を想定したリアルタイム応答の実現、より高性能な基盤モデルへの拡張などを推進し、海事DXを支える次世代技術を古野電気から提供してまいります。

    古野電気株式会社 技術研究所 第1研究部
    知能制御研究室 田中 美佳

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